以前の記事「優秀な外国人を発掘するための求人方法」で外国人を募集する方法をお伝えいたしましたが、今回は実際の面接から入社まで入門ガイドとして簡単な流れについてご説明いたします。
初めての外国人採用では実際どのようにすればよいのか、何を心がければよいのかわからないことも多いと思います。優秀な外国人を獲得するには採用する企業側も面接時には自社の魅力を応募者に対してどんどんアピールする努力が必要です。
また、日本人採用と違い外国人を採用する際には「就労ビザ」の取得が必要になります。様々なルールがありますがルールを把握すれば特に難しいものではありませんし、申請等に関しては行政書士などにアドバイス・依頼することでスムーズに進めることができます。
それでは、求人の応募者の面接から解説いたします。
〇 目次 〇
1.面接を行う前の確認事項
1-1 外国人が就労ビザを持っていない場合。或いは海外から外国人を呼んだ場合
1-2 外国人が日本に在留していて、就労ビザを持っている場合
4.ビザ・就労資格証明証の取得
4-1 海外で働いている外国人や海外の大学を卒業する外国人を日本で雇用する場合
4-2 日本ですでに働いている外国人を中途採用するとき
4-3 外国人留学生など就労ビザ以外の種類のビザを持っている場合
1.面接を行う前の確認事項
①外国人が就労ビザを持っていない場合。或いは海外から外国人を呼んだ場合
応募者の中で面接したい外国人がいた際には必ず「就労ビザ取得の見込みを確認する必要があります」。せっかく優秀な人に出会って内定をだしても就労ビザが取得できなければ日本で働くことができないからです。
〈確認する内容〉
●外国人が卒業した大学や専門学校の選考内容が自社の業種と合致するのかどうか
外国人の学歴についての書類:卒業証明書や成績証明書
●採用する職種において10年以上の実務経験があるかどうかを確認する。通訳、語学関連の場合は3年以上の実務経験。
採用職種についての書類:過去の在職証明書や職歴がわかる資料
希望の就労ビザを取得するためには、要件全てを満たしていることが必要となります。満たしてない場合、許可がおりることはありませんので、採用する外国人の学歴や職歴が要件を満たしていて就労ビザを取得できる可能性があるか確認しておく必要があります。
②外国人が日本に在留していて、就労ビザを持っている場合
現在持っている在留資格を在留カード等で確認をしましょう。
〈確認のポイント〉
●在留資格の種類(就労ビザには18種類あり、採用企業の業種と外国人が保有している就労ビザの種類が合致しなければ働くことができません。)
●在留期間の満了日(在留期間の満了日を過ぎた在留カードを保持している場合は不法滞在(オーバーステイ)です。)
●資格外活動許可の有無(在留資格が「留学」や「家族滞在」で在留カードに「就労不可」と記載がある場合も、在留カードの裏面の「資格外活動許可欄」に「原則週28時間以内」等と記載がある場合は、その時間の範囲で就労が可能です。)
「日本人と結婚している外国人」や「日本の永住権を取得している外国人やその配偶者」、「日系などの定住者」は、日本人と同じように働くことができ、職種の制限がありません。
2.面接時の注意点
上記の確認および書類選考を経て次のステップは面接です。
大前提として外国人と面接する際も日本人と同じように行うということが大切になります。書類選考ではわからなかった日本語能力や日本の習慣に理解があるかなどを見極めるのも重要です。
外国人は、日本人より自己アピールが強く自分に自信を持っています。質問するときはできるだけ具体的にするように心がけましょう。たとえば「あなたはワードやエクセルができますか?」との質問にほとんどの方が「できる」と答えるでしょう。しかし、この「できる」も人によって基準が違います。実際にできるといっていても、会社側の基準値に達していない人も多いです。この場合は具体的に社内では1時間で作成できる資料を見せ、「この資料ならどれくらいで作成できますか?」と質問してみるのもよいでしょう。
海外での職歴がある外国人の場合、現地での職歴について詳しく聞いてみるのもよいでしょう。意外な人脈や経験などがわかることもあります。
また、外国人ならではですが、人種や宗教や思想に関する質問は極力避けましょう。日本人より外国人は、人種、宗教、思想に対する意識がとても強く、人によっては人種差別や侮辱と捉える人もいますので注意が必要です。
条件面に関しても注意が必要です。外国人は日本人と違いあいまいな表現を嫌います。就業条件を細かく伝え、相手が理解することが不可欠となります。外国人雇用者が把握せずにいた場合、業務外だということでトラブルになるケースがあります。そのようなことが起こらないようにも、どれくらいの残業時間が平均としてあり、どの月が忙しいのかなど的確に伝えるのが良いでしょう。賃金面や福利厚生についても具体的に伝えるようにしましょう。
3.面接終了後、内定を出したら雇用契約書を作成しましょう
外国人を雇う時はまず、雇用契約書(業務内容や就労時間に給与内容)を作成するのが最初の手続きです。就労ビザを申請する際に必要な書類の1つですので、就労ビザの申請前に作成しておく必要があります。
雇用契約書の内容についての作成方法は基本的には日本人との雇用契約書と同じで問題ありません。
ただし、内容の理解ができないなどの問題を避けるため、外国人社員の母国語または英語でも契約書類を作成しておくと安心です。
厚生労働省が雇用契約書のサンプルを英語で出していますご参考にしてみてください。
「厚生労働省 外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)」
4.ビザ・就労資格証明証の取得
書類を作成して契約を交わしたら、いよいよビザや就労資格証明証の取得を行います。
入国管理局は会社の所在地を管轄する入国管理局へ行かなければなりません。自社がどこの入国管理局の管轄かは以下のページを参照してください。
就労ビザの申請の方法は、外国人によって以下の3種類に分かれます。
①海外で働いている外国人や海外の大学を卒業する外国人を日本で雇用する場合
1. 雇用企業が『在留資格認定証明書』を入国管理局で発行してもらう。
2. 発行後、外国人(内定者)に渡す。
3. 外国人(内定者)本人が現地の日本大使館に就労ビザの申請をする。
※在留資格証明書の審査には1ヶ月~3か月かかりますので、通常は外国人に内定を出したら、すぐに申請をスタートしましょう。ただし、在留資格認定証明書は発行されてから「3か月以内」に日本に入国しなければ無効になりますので注意が必要です。
◆在留資格認定証明書交付申請の必要書類◆
(1)在留資格認定証明書交付申請書
(2)外国人本人の証明写真(縦4センチ×横3センチ)
(3)返信用封筒(宛先を明記して392円切手を貼り付けたもの)
(4)学歴または職歴を証明する書類(大学または専門学校の卒業証明書、成績証明書あるいは過去の勤務先の在職証明書など)
(5)パスポートのコピー
(6)本人の履歴書(学歴・職歴を記載したもの)
(7)前年分の従業員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー(受付印のあるもの)
(8)会社の登記事項証明書
(9)会社の定款のコピー
(10)会社案内またはホームページのコピー
(11)直近年度の貸借対照表、損益計算書のコピー
(12)採用理由書
(13)雇用契約書
このうち、(1)は外国人または会社が用意する書類、(2)から(6)は外国人が用意する書類、(7)から(13)は会社が用意する書類です。
②日本ですでに働いている外国人を中途採用するとき
この場合は、雇用する企業が入国管理局で『就労資格証明書交付申請』を行います。
※「就労資格証明書交付申請」とは、雇用する企業の採用職種が雇用しようとする外国人の就労ビザで就労できるかを入国管理局に判断し、確認してもらう手続きです。
◆就労資格証明書交付申請の必要書類◆
(1)就労資格証明書交付申請書
(2)在留カード
(3)パスポート
(4)前職の退職証明書・源泉徴収票
(5)学歴または職歴を証明する書類(大学または専門学校の卒業証明書、成績証明書あるいは過去の勤務先の在職証明書など)
(6)本人の履歴書(学歴・職歴を記載したもの)
(7)前年分の従業員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー(受付印のあるもの)
(8)会社の登記事項証明書
(9)会社の定款のコピー
(10)会社案内またはホームページの写し
(11)直近年度の貸借対照表、損益計算書のコピー
(12)採用理由書
(13)雇用契約書
このうち、(1)は外国人または会社が用意する書類、(2)から(6)は外国人が用意する書類、(7)から(13)は会社が用意する書類です。
③外国人留学生など就労ビザ以外の種類のビザを持っている場合
ビザの変更手続き(在留資格変更許可申請手続き)が必要です。入国管理局で在留許可申請をしましょう。
◆在留許可申請の必要書類◆
(1)在留資格変更許可申請書
(2)外国人本人の証明写真(縦4センチ×横3センチ)
(3)学歴または職歴を証明する書類(大学または専門学校の卒業証明書、成績証明書あるいは過去の勤務先の在職証明書など)
(4)在留カード
(5)パスポート
(6)本人の履歴書(学歴・職歴を記載したもの)
(7)前年分の従業員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表のコピー(受付印のあるもの)
(8)会社の登記事項証明書
(9)会社の定款のコピー
(10)会社案内またはホームページの写し
(11)直近年度の貸借対照表、損益計算書のコピー
(12)採用理由書
(13)雇用契約書
このうち、(1)は外国人または会社が用意する書類、(2)から(6)は外国人が用意する書類、(7)から(13)は会社が用意する書類です。
5.就労ビザを取得できたら雇用開始
無事就労ビザを取得できたら雇用をスタートすることになります。
就労を開始した後の労災保険・健康保険・厚生年金の加入や給与の計算方法は日本人と異なることはありません。ただし、外国人を雇用する以下の特有の注意点を確認しておきましょう。
1.外国人を雇用した場合、ハローワークへの届出が必要です。(ただし、外国人が雇用保険に加入する場合は、雇用保険を手続きすることで届出を兼ねることができます。
2.就業規則のコピーを渡し内容を確認してサインをもらう。(外国のほうが日本より契約社会のためトラブルにつながらないようにしましょう)
3.就労ビザの更新時期の管理(在留期間が満了する前にビザの更新の手続きをすることが必要です。)
6.まとめ
さて、今回は外国人の面接のポイントから雇用まで、入門ガイドとして簡単に解説させていただきました。外国人雇用のご参考になればと思います。
入国管理局などのWEBサイトには様々な情報が掲載されていますので、今回ご紹介したポイント以外にも細かな点を把握することで、自社でビザ申請等も含めて対応することは可能です。日本の入国管理局は、他の国に比べ対応がしっかりしているますので慣れてしまえば難しいことはありません。
入国管理局WEBサイト
しかし、法律的な問題もかかえますので、ご予算がとれるようでしたらビザの専門行政書士などに依頼するのもお勧めです。中には行政手続き以外にも面接時のサポートや、雇用サポートなどトータル的に対応してくれる事務所もありますのでお近くで検索されてみるのもよいでしょう。
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